文体から考え方まで、この著者になりきってしまうほど入れ込んでしまう。


そういう読書体験をしたことがある人もいるかと思う。

私の場合は、大学生時代、ジャーナリストの本多勝一氏の本を読んでからそういう状況になってしまった。『日本語の作文技術』といった署名を出せばわかる人も多いかもしれない。

残念ながらいまでは、そういう「著者に憑依される」経験はないが、大学を出て数年は氏の影響が自分の奥底に深く深く根付いていた。

朝日文庫もすべてそろえ、『貧困なる精神』も数年前のものまではすべて手元にある。

著作集は数冊しか手元にないが、一番好きなのは『旅立ちの記』・『貧困なる青春日記』・『探検部の誕生』である。




その後いろいろな「書き手」にふらふらしてしまうが、大学生という時期に熱心に読んだということが、その他の書物を凌駕してしまう。

年越しは、部室で独り、本と酒。

地元から遠く離れた香川県で、学内が静まり返るなか、氏の本を読みながら。酒を飲みながら年を越す。独りだったのだが、印象深い新年の始まりだった。